『価値づくり』の研究開発マネジメント 第374回
普通の組織をイノベーティブにする処方箋(221): KETICモデル- C:Curiosity(好奇心)(11)
好奇心は何によって生まれるのか(11)
(2026年2月16日)
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現在「好奇心は何によって生まれるのか?」を議論していますが、今回はその中で5つ目の「正の予測誤差を生み出す工夫」を考えてみたいと思います。
●正の予測誤差を生み出す工夫(その5):行動に普段とは異なる要素を組み込む
〇行動に普段とは異なる要素を組み込むことが正の予測誤差を生み出すのか?
最初のステップである「第1ステップ:最初の動機付け」でのなんらかの動機付けを受け行動をする場合、世の中で常識となっているような方法ではなく、普段とは異なる工夫を行動に組込むと、次の「第2ステップ:学習-正の予測誤差を生み出す」において想定外の結果が得られる可能性がでてきます。
たとえば前回も取り上げた富士山登山をするにしても、あえて霧の日に登る、台風が去った直後に登るなどです(もちろん富士山登山の場合は、自身の安全を確保し、また他の登山者に迷惑を掛けないことが大前提ですが)。
そうすると、「第2ステップ:学習-正の予測誤差を生み出す」では;
実際の達成値-期待値=予測誤差
となりますので、「実際の達成値」は行動に普段とは異なる工夫の結果が想定外の効果を生み出し、期待値(富士山登山の場合には、頂上までの登山を達成する)より大きくなる可能性があります。その結果、正の予測誤差が生まれます。
〇普段とは異なる工夫とはどのようなものか
それでは普段と異なる工夫には、どのようなものがあるのでしょうか?それは、上の式で「実際の達成値」を高めるもので、以下のようなものがあると思います。
-行動にあえて制約を加える
普通にやれば一日かかるようなことを1時間でやるという制約を加える。達成する目標や目標値は同じでも、1時間でできたという追加的な達成感が得られます。その結果「正の予測誤差」が生まれる可能性が高まります。
-行動に自分自身の工夫を組み込む
小さくても良いので、自分自身の工夫を組み込む。たとえば、料理をするのに、こんな調味料入れたら美味しいかもと考える。その結果、本当に美味しければ、そして自分の工夫が効果を発揮したという満足感が得られ正の予測誤差が生まれます。逆にまずければ、この調味料はこの料理に合わないと経験できたことを楽しむ、自分で工夫したことだけでも自分でほめる。そうすれば、ここでも正の予測誤差を生むことができます。
-行動に他人にアピールする要素を組み込む
人間は他人からの関心を得られると、嬉しく感じるものです。それは、必ずしもポジティブな関心でなくても、関心を持たれるだけで嬉しく思います。他人が自分に注意を向けてくれるだけで、「つながりの報酬」と言われる効果が生まれることが、心理学の研究からわかっています。その結果「実際の達成値」を高めることになります。
-行動に追加的に自分への報酬を与える
上の「普通にやれば一日かかるようなことを1時間でやるという制約を付ける」の例で、1時間でできたら、自分へのご褒美を与える。たとえば前から欲しかった購入に躊躇していた物を買うなどです。このような報酬により、「実際の達成値」を高めることができます。
(浪江一公)
