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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第346回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(193): KETICモデル-思考(135)
「発想のフレームワーク(73):思考の頻度を高める方法(48) 妄想のすすめ(18)」

(2024年12月23日)

 

セミナー情報

 

前回は妄想のすすめとして、「遊びごころを持つ」というお話をしました。今回も引き続きこの点について考えてみたいと思います。

●妄想を積極的に促す方法(その26):遊びごころを持つ(続き)

〇会社にはつらいことはつきもので、確かに、つらいことを乗り越えることで人間は成長するが・・・
前回の記事の中で、私が以前に勤務していた会社の創業者の「仕事とは本来つらいもので、だからこそ給料をもらえる」という言葉を紹介しました。この言葉の背景には、

- 会社という環境の中では、つらさを生み出す原因が消え去ることはない。むしろ難しいことを達成しようと思えば、つらいことは必ず起こるもの。そもそも、その原因に対処し効果的・効率的にマネジメントしていくことこそ、経営や仕事の本質である。
-人間はつらいものを乗り越えてこそ、人間は成長するものである。この考えは、洋の東西、また人類の歴史からも証明された事実である。

ということがあるように思えます。

〇「つらい」を分解してポジティブに対処する気持ちを作る
しかし、前回も議論したように「つらさ」は視野を狭くし、イノベーションを妨げるものです。また、実際には「つらい」と感じるのは人間の認識にすぎません。なぜ「つらい」と感じるのかを考えてみると、「つらい」と認識する状況をポジティブに捉えることができるように思えます。なぜ人間は「つらい」と考えるのかを分解して考えてみると、2つの部分に分けられます。

-問題解決や達成のハードルが高い
-ハードルを越える能力に自信がない

これら2つへの対処法を講じることで、「つらい」という認識をポジティブなものに変えることができます。

〇前者については、「ハードルが高ければ高い程、達成の果実は大きい」と考えてみる
人間は、自分にとって果実が大きければ、ハードルを乗り越えることに投入するエネルギーは増大するものです。ですので、そのハードルを越えることで得られる果実を、「広く」そして「自分の」視点で、とらえ直してみる。

「広く」の視点で果実を捉えると、その達成で直接的に得られるものの他に、その達成の過程で得られたり、結果の副次的効果として得られる果実があることがわかります。またそれらを「自分」にとっての果実として、具体的にイメージすることで、その果実が生み出す価値を強く認識することができます。

たとえば、仕事上である高い目的を達成するには、他の社員の協力が不可欠である一方、その社員があなたに悪い感情を持っていて協力を全くしてくれないとします。「あの人は私を嫌っている」などと考えると、つらさは増すものです。しかし、長い人生の中では、今後も一定の確率で、程度の差こそあれそのような人に遭遇するものです。「これを機会に、そのような人に対処する術、能力、気持ちを獲得する機会にしてみよう」と考えてみる。そう考えてみると、それまでその人と仕事をするのは「つらい」なと思っていても、そう考えることで、さまざまな懐柔策を考え、また実際にそれら懐柔策に積極的に取り組むポジティブな気持ちが生まれてきます。そして、おのずと取組の対処法のオプションは、広がります。まさに、それが、今議論をしている「遊びごごろ」を持つということだと思います。

後者については、年明けになりますが、次回議論をしたいと思います。皆さま良いお年をお迎えください。

(浪江一公)