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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第340回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(187): KETICモデル-思考(129)
「発想のフレームワーク(72):思考の頻度を高める方法(42) 妄想のすすめ(12)」

(2024年9月30日)

 

セミナー情報

 

今回も、引き続き「妄想を積極的に促す方法」について、考えてみたいと思います。

●妄想を積極的に促す方法(その21):図書館を活用する

※: 前々回(9月17日)、前回(9月2日)の番号が間違っていました。(その17)→(その18)、 (その19)→(その20)に読み替えてください。

本の世界は、それがどんなジャンルのものであっても、それは多いに妄想を掻き立てる源になるものです。それが科学や歴史という事実をもとにしたものでも、小説などそれこそ妄想をもとにしたものでも、妄想を刺激してくれます。

そのような妄想を掻き立ててくれる本が沢山あるのが、図書館です。同じような機能を持つのが書店ですが、書店の本は図書館のものに比べて、何十分の一、何百分の一ですし、また最近書店の数が急速に減っていて、書店のない自治体もかなりの数あるようです。また書店の本は長い時間立ち読みをすることはできませんし(私はその昔、青色ダイオードでノーベル賞を受賞した中村修二さんの本を、あまりに面白く書店で1時間以上立ち読みをして全部読んだことがありますが)、また購入するにはお金がかかります。それに書店では、本を多少とも汚してしまうのではないかと、本を自由に手に取るのを躊躇するということも起こります。

その点図書館は膨大な蔵書があり、何時間でも図書館で閲覧できますし、またお金もかかりません。それに閲覧用の椅子や机もあり、また環境も静かで温度も快適です。またインターネット上の情報にくらべて、図書館の蔵書にはそのタイトルにおいて網羅性があります。まさに、人類の知の全体の体系が図書館にあるのです。

〇自分の興味にまかせて様々な本を手に取って読む
図書館には様々なジャンルの本がありますので、自分の興味にまかせて様々なジャンルの本を手当たり次第に手に取って読んでみることで、多いに妄想を刺激することができます。
そもそも興味のないジャンルの本を手にとるのは難しいと思いますが、自分が興味ある分野を「網羅的に」自分の頭の中に整理してもっている人は、たぶん極めて少数と思います。ですので、自分がすでに気が付いている自分の興味の分野から本を探すということはもちろんあって良いのですが、むしろ図書館のようにさまざまな本がそこにあり、図書館内を歩き回って、「偶然」こんな分野の本があるんだと知り、面白そうだなと感じ、それまで手に取るようなことがなかった分野の本に触れる機会を持つことが大事です。

〇あえて自分が興味がないと思っていた分野の本を手に取る
さらに一歩進めて、あえて自分の興味の対象外と思っていた分野の本をのぞいてみる。図書館の本はただ手にとるだけなら数秒しかかかりません。結果的に面白いと感じなくても、大した手間にはなりません。そのような自分の興味の対象外のコーナーにも、ぶらっと寄ってみる。自分の興味の対象外と思っていた分野がこんなにあったのか、こんなに面白い分野があったのかという、驚きもあります。図書館の中を、隅から隅まで回遊してみましょう。

〇読み方は自由に
妄想を刺激する読み方は、自由です。歩きながらタイトルだけでも面白そうに思えた本を手にとってぱらぱらめくるだけ、またそのような中から実際に面白いと感じたら、席についてじっくり読むなど自由です。

〇適当な規模の図書館を選ぶ
地方の方にはそのような選択肢は多くはないかもしれませんが、上のような活動を行うには適当な規模の図書館を選ぶことが大切になります。あまりに大きな図書館であると回遊するのも大変ですし、事前に目的の本を決めて検索して受付に申し込むなど上の様な活動ができないシステムになっている図書館もあります。またあまりに小さいと、蔵書の数やジャンルも少なく、繰り返し足を運ぶ対象にはなかなかなりにくいかもしれません。

(浪江一公)