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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第338回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(185): KETICモデル-思考(127)
「発想のフレームワーク(70):思考の頻度を高める方法(40) 妄想のすすめ(10)」

(2024年9月2日)

 

セミナー情報

 

今回も引き続き「妄想を積極的に促す方法」について、考えてみたいと思います。

●妄想を積極的に促す方法(その17):一日のうち、妄想タイムを持つ
皆さんは日々大変忙しい時間を過ごしていると思います。仮に妄想が多少大事だと認識しても、皆さんの日々やらなければならないことに比べ、その重要性は必ずしも高いとは言えないのでしょうか(私は妄想は他の様々なやらなければならないことに比べても、大変重要と認識していますが)。そうなると妄想をするという活動はどんどん後回しにされ、行われないことになります。

よく毎日瞑想の時間をとることが、推奨されています。瞑想と妄想は少し似たところがあります。両者とも自分自身の内面に注意を向ける、意識を集中する、周りの現実から一時的に自分を遮断する、などです。ですので、瞑想と同じように、妄想する時間をとる習慣をつけることは、大変有効と思います。

私は習慣化の威力を、自分自身の経験で強く認識しています。私の長年の習慣が二つあります。一つは早起きです。20年ぐらい前からこの習慣を身につけ、現在朝の4時ちょうどに起きるようにしています。このメルマガもその習慣を利用して、起床直後に書いています。それからもう一つが朝の散歩です。だいたい4時に起きて、一仕事が終わった6時ぐらいから、台風のような日を別にして、雨の日でも1時間程近所を早歩きで散歩をしています。朝4時に起きる習慣で、仕事の面でもさまざまなことを成し遂げることができました。朝の散歩の習慣で、毎年の定期健康診断でもこの歳にしては、かなり良い数値を維持することもできています。

習慣はなぜ良いのか。それは、やるかやらないかをぐずぐず考える面倒がなくなるからです。ぐずぐず考えると、昨日は随分遅くまで起きていて眠いので4時に起きるのはやめようか、今日は雨がひどいな、散歩にいかなきゃいけないかな、など考えません。目覚ましが鳴れば、すぐ起きますし、仕事がひと段落終われば何も考えずに決まったとおりに散歩にでます。ぐずぐず考え始めると、多くの場合「やらない」と言う結論になり、やらないからです。

しかし、一般的に習慣化するにはさまざまなハードル(眠い中に起きなければならない、雨風、寒さ暑さにさらされるなど)があって、簡単ではないという事実もあります。しかし、こと妄想に関しては、なんの道具もいりませんし、なんの面倒もありませんし、妄想状態に移行するのはいつでもどこでも可能で、さしたるハードルはありません。

妄想にお薦めなのが、通勤途上です。特に仕事が終わった後の帰宅時です。朝に会社に向かう時間というのは、その日の仕事のことや、あれやこれや考えることが多いものです。しかし、帰宅時にはすでにその日の仕事は終わっていますので、集中して妄想する時間枠を確保することは可能です。電車やバスで通勤している方は、つり革につかまり窓の外に目をやりながら、あれこれ妄想する。自動車で通勤している方は、ハンドルを握りながらフロントガラスの外の景色を見ながら妄想する、といった感じです。会社からの帰りの時間を妄想タイムにしましょう。

最初の内は、妄想の効果はあまり現れないかもしれません。特に良いアイデアやそこに結び付く思考は、すぐはでてこないと思います。しかしそこでやめてはだめです。ずっと妄想を続けることが大事です。仮に良いアイデアが出てこなくても、毎日妄想することに価値を置き、毎日妄想している自分を実感し、ほめましょう。妄想することを繰り返すだけで、ほめるに値します。

そうするとそのうちに自分の頭の中に妄想の結果の思考の結果が蓄積され、まさに妄想が妄想を生むようになります。また妄想ぐせが付きます。そして妄想が楽しくなります(現実には実現が難しいようなことも、頭の中では簡単の実現できるのですから)。ここまで行けば、しめたものです。妄想する習慣が身に付きます。

(浪江一公)