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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第332回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(179): KETICモデル-思考(121)
「発想のフレームワーク(64):思考の頻度を高める方法(34) 妄想のすすめ(4)」

(2024年6月3日)

 

セミナー情報

 

今回も前回から引き続き、妄想を積極的に促す方法について、考えてみたいと思います。

●妄想を積極的に促す方法(その5):頭の中で映像として再構成してみる
前回のメルマガ記事で、「●妄想を積極的に促す方法(その4):得た情報を頭の中できちんと受け止め、ころがす」という話をしましたが、具体的に「ころがす」とは脳内でのどのような活動を行うことなのでしょうか。私は、それは頭の中でそのシーンの「映像」を頭の中で、あれこれと再構成することではないかと思います。

脳科学の研究から、脳は映像で思い出したり、そこから新しい未体験の映像を再構成したりすることがわかっているそうです。人間は過去に頭の中に蓄積した映像情報はそれが映像として想像に使う場合にも利用し、さらに新な映像情報に再構成し加工して活用しているということです。つまり脳は経験していないことも、映像として想像することができるのです。

私の経験で恐縮ですが、ある一時期人生においても大きなインパクトがあるポジティブな出来事があり、気持ちがワクワクして、不思議なことに毎日々々、大空を自由自在に飛び回る夢をみた時期がありました。もちろん、私自身、空を飛んだ経験はありません。しかし、空を飛んでいる時に見た映像を、夢の中で再現できていたのです。なぜ経験したことのないそのようなことができたのか考えてみると、テレビや映画などでの鳥が飛ぶ映像、自身の飛行機の窓から見た映像経験、アニメのシーンなどに基づき、空を飛んでいる時の映像を再構成していたと考えるしかありません。

ですので、このようなことを妄想に使わない手はありませんし、そもそも妄想というのはそのような活動そのものではないでしょうか。

ですので、妄想時には頭の中で映像情報として再構成することを常に心がけることが必要です。それにより、妄想がおおいに促進されます。

●妄想を積極的に促す方法(その6):頭の中で映像に音、匂い、肌感覚、気持ちを付加する
上のその5では映像として考えるという話をしましたが、人間の五感は視覚だけではありません。他の感覚も使わない手はありません。さらに、五感からその時の気持ちを再構成することもできます。

上の私の空を飛ぶ話で言えば、飛んでいる時には、風切り音、身体にあたる空気感、さらには高速で身一つで高い空を飛んでいる緊張感なども感じるものです。妄想によって、空飛ぶ経験を、それら五感や気持ちで表現、強化することができます。

●妄想を積極的に促す方法(その7):頭の中で関心を持った点をズームアップしてさらに探る
その際、関心を持った点にフォーカスして、その部分をズームアップしてみることにより、妄想の連鎖が広がるということがあるように思えます。

上で私の空を飛ぶ夢の話をしましたが、その際頭の中で再現されている映像情報は実際は曖昧なものです。眼下の街や山や川の風景情報はきわめて曖昧で、山なのか単なる平地なのかも不明確です。しかし、曖昧に捉えている一つのものをズームアップしてみる。たとえばずっと下の方で線路が続いていて、そこに列車が走っているのが見えると想像してみる。そこで列車に焦点を当てズームアップしてみる。そこで過去に得た様々な映像経験を駆使して、列車の映像や音が頭の中でかなり鮮明に再現される。

このようにすることで、妄想を次から次に連想により拡大するということができます。

(浪江一公)