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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第331回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(178): KETICモデル-思考(120)
「発想のフレームワーク(63):思考の頻度を高める方法(33) 妄想のすすめ(3)」

(2024年5月20日)

 

セミナー情報

 

今回も引き続き、妄想のすすめについて議論をします。妄想をするには、それなりにエネルギーが必要になります。そのようなエネルギーを生み出すためには、それなりの心構えや工夫が必要になります。今回から、その心構えや工夫について考えてみたいと思います。

●妄想を積極的に促す方法(その1):限られた情報から意味合いや結論を出す習慣を身に着ける
日々我々はさまざまな情報に接しています。それら日々接する情報量は、ささいな情報を含めると、相当な量になると思います。それら情報を、妄想するための原料として活用しない手はありません。活用の方法として、そこからなんらかの意味合い、さらには結論を常に抽出する習慣やクセを持つということがあります。

もちろん、それら情報は、ほとんどの場合確定的な意味合いや結論を出すには、まったく不十分です。ですから、それらの意味合いや結論は、仮説どころか、(妄想ですから)仮説の仮説の仮説です。しかし、どのようなことを考えるのも、まったく個人の自由です。愚かであろうが、邪悪であろうが、不道徳であろうが、非社会的であろうが、他人に知られるわけではありません。知っているのは自分だけですので、自分以外にだれもそのような妄想を非難したり、罰するということは、自分が口外したり、実行に移さない限り絶対にありません。

このように、頭をやわらかくして、限られた情報から意味合いや結論を出す習慣を身に着けることで、おおいに妄想が促進されます。

●妄想を積極的に促す方法(その2):思考の対象として興味のない対象を排除しない
日々接する情報の中には、興味のない分野の情報も多数含まれます。しかしそのような情報を思考の対象から排除すると、妄想の対象となる情報は大幅に削減されてしまいますので、それら領域を対象から排除しないことが重要です。

そのため、それら領域も嫌いな領域、興味がない領域として、関心を持つということが大事ではないかと思います。実は私がどうしても好きになれない対象に、プロ野球やプロ野球選手があります。そこでプロ野球と聞いてすぐに思考を遮断するのではなく、たとえばなぜ、好きになれないのかを考えてみる。その理由を今考えてみると、私が子供の頃のプロ野球選手に、尊大な態度をとる人間が多いと考えていたということがあるように思えます。なぜその当時そう考えたのか。母親がプロ野球の選手にいやな経験をして、それが刷り込まれた・・・・、などなど。そういう思考をしてみると、相変わらずプロ野球そのものは好きにはならないにもかかわらず、懐かしい自分の過去の経験や家族のことなどに、思いを馳せたり、プロ野球に関連することに関心を持つようになります。

●妄想を積極的に促す方法(その3):多面的に思考する
つまり、ものには必ず多面性があるということです。プロ野球選手と一言でいっても、自分がどういう認識をしているか、なぜそういう認識をしたのか、プロ野球の選手は皆本当に尊大なのかなど、そこから思考の連鎖がそれも多面的に広がります。

多面的に思考することで;
〇上の「その2」で議論したように、対象領域に異なる視点から関心を持てるようになる
〇妄想の対象を広げ、妄想が自然と進む
という2つの効果があります。

●妄想を積極的に促す方法(その4):得た情報を頭の中できちんと受け止め、ころがす
その際、得た情報が右の耳から入って、左の耳から出ってしまうようでは、妄想を生み出すことはできません。できるだけ、どのような情報でも、それを一度頭の中できちんと受け止め、さらにはそのことについて深く考えてみる必要があります。いちいち深く考えてみるというと、多忙な中なかなか難しいと思うかもしれませんが、頭の中であれこれところがしてみるというような活動です。

次回もこの議論を続けたいと思います。

(浪江一公)