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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第283回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(130): KETICモデル-思考(72)
「発想のフレームワーク(15):失敗から何を学ぶか?」

(2022年6月20日)

 

セミナー情報

 

現在「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にむけて、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて、議論しています。今回から「失敗から何を学ぶか?」について議論をしていきたいと思います。

●失敗から学ぶべきは「同じ失敗を繰り返さない」ではない

良く失敗から学ぶべきこととして良く言われることに、「同じ失敗を繰り返さない」があります。しかし、失敗から学ぶことの意義は、そのような効果が限定された小さなことだけでは決してありません。もっともっと大きな意義があると思います。

●失敗から学べる4つのこと

私は現状で思い付く範囲だけでも、失敗から学べることは以下の4つがあると思います。
〇未知の知識を主体的に得ることができる
〇失敗の本質的な原因を突き詰めることができる
〇将来のことを予測することができる
〇アイデアを進化させることができる

これらの大きな意義のある失敗ですので、失敗を許容した活動を積極的に行うことは、理にかなったことと言えます。それでは、これから、順番にこれら項目について議論をしていきたいと思います。

●未知の知識を主体的に得ることができる

我々がこれまで様々なことをどう学んできたかを考えると、もちろん主体的に学校で学ぶ、会社で学ぶといことはしてきてはいますが、一方で偶発的に受動的に遭遇したことから学ぶということを沢山やってきているのではないでしょうか。そして、我々の知識は、後者によって獲得したものが圧倒的に多いと思います。またそれらを活用して、曲りなりにも、日々それなりの仕事・生活ができているということがあると思います。

今ここで議論をしている、自ら失敗を許容して様々なことを積極的に行うことは、すなわちこれまで偶発的、受動的に学んできたことだけでなく、主体的に学びの機会を増やすことと言えると思います。それにより、仕事でも、私生活でも、学んだことを活用して、よりよい仕事・生活を実現することができるということがあります。

●失敗を許容する活動とは実験のこと

ここまでの議論を聞いて、失敗と言っているが、それって実験のことでしょ、と思われた方がいると思います。まさにその通りで、失敗を許容して活動をするということは、すなわち実験をするということです。逆に言うと、実験とは失敗のコスト・リスクを予想の範囲内に抑えて、様々な失敗をすることで、新しい情報を得ることと定義することができます。

つまり、失敗を許容した積極的な活動をすることは、研究の場だけでなく、会社での活動、それから私生活においても、どんどん実験をするということです。

しかし、他の会社での活動や私生活での実験においては、研究の場で行われている実験ではすでに考慮されている、失敗のコスト・リスクをマネジメントするということも考えていかなければなりません。次回はこの議論をしたいと思います。

(浪江一公)