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『価値づくり』の研究開発マネジメント 第214回

普通の組織をイノベーティブにする処方箋(61): KETICモデル-思考(3)
「知識・経験を時系列で整理する」

(2019年9月2日)

 

セミナー情報

 

前回から「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の議論をしています。今回も引き続きこの議論をしたいと思います。

●なぜ時系列か?

まず1つ目は、時系列での知識・経験の整理です。なぜ、時系列で整理することが有効なのでしょうか?

○「全て」は大きな時間の流れで動いている
知識・経験を整理する最も一般的な切り口が、時系列での整理です。すなわち、発生する順番に知識・経験を整理するというものです。この世に起こることは、「全て」例外なく時間という大きな流れに支配されています。そして、時間は戻ることなく1つの方向で進むという絶対的な原則に基づいています。したがって、時系列は極めて明快な切り口と言えます。

○全ては以前に起こったことに基づき起こる・成り立つ
自然界は、前に起こった事や存在する事が原因となり、後に起こる結果を生み出すという関係性で成立しています。後に起こったことが原因で、前に生み出された結果を生み出すという関係には、基本的にはありません。もちろん、人間は思考するために、人間が主語である思考の世界では、後にこのような目標を達成したいと考えることにより、今の行動が生まれるということはあります。しかし、この世のことの99.9%は、「前」が原因となり、「後」の結果をもたらすという関係性に基づいていると言って良いでしょう。したがって、このような点からも時系列の整理法は、有効な切り口です。

○時間は階段状に段階的に推移する
時系列といっても、通常物事は漸進的には進展しません。理由は良くわかりませんが、多くのことが階段状に段階的に進んで行きます。変化や進展のないもしくは変化や進展が小さい期間がある程度続き、その後に急に変化し、再び変化や進展のあまりない台地の状況が続くということを繰り返します。このそれぞれの台地の期間を特徴付け、またその関連性を明らかにすることで、思考や経験を有効に整理することができます。

○整理しやすい
人間は時間の流れで、思考・活動することに慣れています。時間は見えないながらも、人間は日々この強力な時間という流れを強く感じ、また影響を受けながら、場合によっては支配されながら、思考や活動をしているからです。この整理がしやすいという点からも、この時系列の整理法は有効なものです。

●時系列で整理する経営の分野における例
上の理由で、世の中には時系列で整理する切り口の種類は沢山あります。経営の分野でも、たとえば以下のような例があります。

○バリューチェーン・サプライチェーン
○揺籃期、成長期、成熟期、老衰期
○短期、中期、長期、超長期○前工程・後工程
○イノベーター、アーリー・アダプター、フォロアー、ラガード(顧客を整理する切り口)
○探索、研究、開発
○守・破・離
○PDCA

次回は上の例を1つ1つ議論したいと思います。

(浪江一公)