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日本企業復活の処方箋「ステージゲート法」

第98回:多様なソースから情報・知識を集める(その13)
情報・知識の『源』を多様化する(12):消費財にも顧客の顧客は存在する

(2015年1月19日)

 

セミナー情報

 

●消費財(B2C製品)にも「顧客の顧客」が存在する

業務効率化の活動の中に、「次工程を顧客と考えよう」という視点があります。社内の仕事はそれだけで自己完結することはなく、必ずその仕事の成果を享受する部門や人がいるために、それら部門や人のことを意識して仕事をしようという考え方です。

B2C製品である消費財にも同じような考えをすることができます。つまり消費財にも次工程があるとうことです。

皆さんの身の回りの製品のことを考えてみてください。例えば、食品や食材。家族で生活をしていれば、必ず他の家族のメンバーを意識して製品を選択します。つまり料理をすれば、それを他の人が食べるという次工程が存在するのです。それから服。厚さ寒さをしのぐためだけの視点で、服を選ぶ人はほとんどいないのではないでしょうか?99%の人は、多かれ少なかれ回りの人達を明確に意識して服を選びます。もしくは、奥さんやガールフレンドは、自分のパートナーがかっこよく見られたいので、彼女たちが服を選ぶなどということがあります。つまり、服を着れば、それを他人に見てもらう、もしくは他人が見るという「次工程」が存在します。

●人間(消費者)は社会との関係の中で生きている

人間としての消費者は社会との「強い関係」の中で生きていますから、その消費活動が社会との関係の影響を強く受けるという、本質的な構造が存在します。

●100%消費者が自己完結的に自身の満足だけを目的に商品するものはない

従って、100%消費者が自己完結的に自身の満足だけを目的に商品するものはないと言えます。例えばトイレットペーパー。トイレットペーパーはこっそりトイレの中だけで使うものですが、それとて地球環境と切って考えることはできません。事実、エコロジーの視点は、トイレットペーパーの購買者の重要な視点になっています。

●重要な他の影響者との関係性を明らかに、彼らの考え方につての情報を集める

「顧客の考えは捉え難い」は、B2B製品と同様にB2C製品にも存在します。つまり、消費者はその製品を使う上で、大きな影響を与える他の人達のことを良く理解していないということです。ここに製品のサプライヤーにとっての大きな価値提供機会があります。

先日NHKの番組の「ためしてガッテン」を見ていたところ、春菊をテーマに取り上げ、いかに春菊を鍋物でおいしく食べるかを放送していました。家族の中には、春菊が苦くて嫌いとか、春菊のその苦さが他の食べもに移るなど、否定的な意見を持っているメンバーがいて、母親は本当は春菊が好きなのに、春菊を買うことができないという話でした。この番組の中では、春菊をおいしく煮る時間を提示し、その時間で煮た春菊は家族の全員に喜ばれたという話です。

つまりサプライヤー(春菊の生産者)は、このような家族の意見を収集して、家族全員がおいしく春菊を食べる方法を提示すれば、春菊の消費は大きく伸びるということです。

同じように、服、シャンプー、歯ブラシ、等ほとんどが消費者(消費財の選択者)以外にも他の重要な影響者が存在します。それらの関係者のその製品やその製品の使用者についての考え、その根拠、等の情報を集めることは、テーマ選定には極めて重要なのです。

(浪江一公)