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日本企業復活の処方箋「ステージゲート法」

第101回:多様なソースから情報・知識を集める(その16)
情報・知識の『源』を多様化する(15):オープンイノベーション-情報発信の考え方(STP+4P)

(2015年3月2日)

 

セミナー情報

 

前回は、情報・知識を多様化するコンセプトとしてのオープンイノベーションを議論しました。今回も引き続きその議論をしたいと思います。

●誰に、どのような情報を、どのように発信するかのフレームワーク:マーケティングのSTP+4P

マーケティングのコアのコンセプトに、STPと4P(マーケティングミックス)という考え方があります。

STPはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字で、市場を市場セグメントに分割し(セグメンテーション)、自社の対象市場セグメントを決め(ターゲティング)、その市場セグメントを対象に自社の製品のアピール点を明確に定める(ポジショニング)というものです。そして4Pは、STPで明確にした、対象市場セグメントを対象に、自社製品のポジショニングに基づき、自社のマーケティングミックス、つまり製品(Product)、価格(Price)、コミュニケーション(Promotion)、チャネル(Place)を決めます。

オープンイノベーションも、マーケティング活動の一環ですので、オープンイノベーションに向けての情報発信もこのフレームワークで考えると、整理ができます。

●セグメンテーションとターゲティング

まずは情報発信の対象を明確にします。前回は80億人を対象とするという話をしましたが、現実には情報発信をする対象者を明確にする必要があります。なぜなら、どの人や企業・機関を対象にするかによって、最適な情報の発信の方法や内容が異なるからです。

オープンイノベーションに向けての情報の発信対象者には、以下のような人・企業・機関があります。

○ライトハウスカスタマー
これまで、何度かライトハウスカスタマーを紹介してきましたが、ここでも重要な情報発信の対象者がこのライトハウスカスタマーです。ライトハウスカスタマーとは、最先端の顧客のことを言い、皆さんの会社の製品や事業に関わる分野で、最先端のニーズを持つ(潜在的)顧客のことを言います。ライトハウスカスタマーは、常に皆さんの製品の周辺分野に強い関心を持つ顧客です。このような顧客の中には、皆さんがこれから提供しようとするような製品を自分達で製作してしまったり、他の製品を流用して改造して使っているような顧客もいます。

既に代替品や既存製品(競合品を含む)が存在する市場では、このような顧客が存在する可能性が極めて高いのです。なぜなら、既に市場が形成されているということは、そこに既にその周辺にニーズを持つ顧客が存在するということです。加えて、全ての顧客が現状で提供されている代替品や既存製品によって100%満足しているということは、『絶対』にありえないからです。つまり、満たされないニーズが必ず存在します。その製品の周辺には、現状では満たされていないニーズが溢れています。そして、人間の欲望は、満たされることはありません。満たされないニーズを満たすような製品の市場投入を、心待ちにしている顧客、すなわちライトハウスカスタマーが少なからずいるのです。

そして今まで目を向けてきた対象以外に視点を大きく広げて、世界中に視野を拡大すると、このようなライトハウスカスタマーの存在の確率は大きく拡大するのです。

引き続き次回もこの議論を続けていきたいと思います。

(浪江一公)